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2011年9月15日木曜日

第2回、井上靖の作品を読む集いが開催されました。


 8月10日、11日の両日、井上靖の作品を読む集いが開催されました。6月に行われた朗読の会に引き続き2回目の開催になります。今回も旭川市井上靖記念文学館で活動されているナナカマドの会のご協力で行われました。
 1日目の10日は『補陀落渡海記(ふだらくとかいき)』。熊野補陀落寺(くまのうらふだらくじ)の代々の住職に代々伝わる、61歳の11月に観音浄土をめざし生きながら海に出て往生を願うという渡海上人の慣わしがテーマになっています。周囲から追い詰められ、渡海から逃れられない老いた住職金光坊(こんこうぼう)の、死に向う恐怖と葛藤が描かれるという異色の短編小説です。
 2日目は『本多忠勝の娘(ほんだただかつのむすめ)』。連作「真田軍記」からの一遍で、徳川四天王の一人、本多忠勝の娘である小松姫と彼女が嫁いだ真田信之、その父である真田昌幸の関係を描いた短編小説です。
 ナナカマドの会の塩尻さんによる朗読の後にその背景となっている時代について中西さん、葛西さんから解説がありました。特に『補陀落渡海記』などはその得意な風習など初めて聞く方も多く、歴史的にも興味深いお話をいただきました。


 左から塩尻さん、中西さん、葛西さん。人によってはとっつきにくいと思われるかもしれない歴史小説の世界を楽しく解説していただきました。ありがとうございました。

/小野